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ペンデュラムマジックに興味を持ったきっかけがバーディーさんのMRI ペンデュラムです
以前にペンデュラムを使用したマジックとしてThe key to your mindを紹介しました。
興味のある方はそちらも参考にしてください。

現象としては、相手に好きなカードを1枚選んでもらいます。
選んだカードを覚えてもらい、ペンデュラムを取り出し「今からこのペンデュラムを使ってアナタ自身で当ててもらいます」と言います。
デックからカードを何枚か取り出し4つのパイルに分けます。
お客さんの持つペンデュラムが横に動いたり、縦に動いたりして自分の選んだカードを当ててしまうというメンタルマジックになります。
このバーディーさんのMRIシリーズはYoutuberマジシャンのポンチさんも絶賛しているマジックDVDになります。
気になる方はポンチさんのレビューも参考にしてください。
解説動画は全体で28分程度で、3つのセクションに分かれています。
- STEP.1Greetingバーディーさんによる挨拶
- STEP.2Demoバーディーさん本人よる実演パートになります
- STEP.3Explanationペンデュラムが振れる不覚筋動(観念運動)の説明からアウトのやり方、相手の選出方法などの解説があります
催眠術の話になりますが、ペンデュラム等の振り子は被暗示性テストでよく使用されるものです。
不覚筋動(=観念運動)については林貞年さんの「催眠術の教科書」でも言及されています。
「被暗示性テスト」ー 催眠導入のためのウォーミングアップ
催眠をかけるためには、被験者の被暗示性を高める作業が必要です。
(中略)
催眠誘導を開始する前に、被験者の被暗示性を高める場合は、だいたい「被暗示性テスト」が疲れます。
被暗示性テストの本来の目的は、名目通り、被験者の暗示感受性を調べるものですが、実際には多くの誘導者が、被験者の被暗示性を高めるために使っています。
(中略)
被暗示性テストといえば、もっともオーソドックスな方法として「振り子テスト」が挙げられます。
(中略)
ここで、振り子が少しでも揺れてきたら、追いうちをかけるように暗示を強くしていきます。前後に揺れるか左右に揺れるか、振り子の動きをよく観察して、前後に揺れるなら「縦に揺れる」、左右なら「横に揺れる」と追い込み暗示を繰り返します。
できるだけ大きく揺れるように、暗示を強くしていきます。
(中略)
さらに、被験者の被暗示性を高めるためのウォーミングアップとしてテストをつづけたいなら、今度は先ほどとは違う方向に揺れると暗示を変えるといいでしょう。
「次は振り子が回り出します」などと暗示を与えると、また別の暗示に反応したという事実が、より被暗示性を高めてくれます。
(中略)
ちなみに、この振り子テストのように、心の中で思ったことが実際の運動となって現れる現象を、「観念運動」といいます。
観念運動は催眠誘導の中でも、もっとも活躍する原理です。
誰でもできる催眠術の教科書p100-104
催眠誘導研究所所長 林貞年
英語で観念運動を英語でいうと、”Ideomotor Phenomenon/Response/Effect”になります。
英語のウィキディアの方が情報が充実していたので、そちらから定義を引用します。
参考 Ideomotor phenomenonWikipediaThe ideomotor phenomenon is a psychological phenomenon wherein a subject makes motions unconsciously.
Ideomotor phenomenon
Wikipedia
コックリさんが動く理由はこの観念運動によるものとされています。
この観念運動が関係しているものとして、コックリさんとFacilitated Communicationの2つが挙げられていましたが、Facilitated CommunicationについてはAPAが観念運動との関係について否定しました。
Facillitated Communicationについて実際にWikipediaを見てみると、”This article is part of a series on Alternative and pseudo-medicine”(この記事には代替医療ないしは偽医療)という表記がちゃんとついています。
観念運動の歴史について知りたい方は下記のリンクから参照できます。
参考 A short history of ideo-motor actionResearchGate.netどういう原理で動いているかはまだわかっていない状況みたいです。
歴史について詳しく書かれています。
個人的に重要そうだなーってトコロを引用します。
Contemporarily, the concept of ideo-motor action is implemented in the description of sequential learning (e.g., Greenwald, 1970; Ziessler, 1998; Ziessler & Natt- kemper, 2001; Hoffmann, Sebald, & Sto ̈ cker, 2001) as well as in the description of the acquisition of action competence (Hoffmann & Sebald, 2000a, 2000b; Stock & Hoffmann, 2002). For the explanation of their ex- perimental results, all these studies used the major as- sumption of the ideo-motor principle, which states that an action is initiated by the anticipation of its effects. Furthermore, all of them agree that before this advanced action mechanism can be used, a learning phase has to take place, advising the actor about several actions and their specific effects.
A short history of video-motor action
Armin Stock ・ Claudia Stock
引用部で重要なのは太字にしてあります。
どういうメカニズムで動くのかは分かりませんが、不覚筋動をより確実に起こそうと思ったら現象の前にLearning Phaseを設けることです。
つまり、ペンデュラムの振り子で言うならどうやってペンデュラムが動くイメージをして、どうやって実際に揺れ動くのかをまず演者が示した方がお客さんに観念運動を起こさせやすいということです。
原理がどうであれマジシャン的には動けば良いだけなので・・・。
メンタルマジック好きにはたまらない現象かと思います。
アウトがちゃんと用意され丁寧に解説されていますので、催眠術の勉強にもなります。
使用されている技法自体は1つしかなく、トランプマジック初心者の方でもできるレベルだと思います。
解説動画自体は30分程度なので、すぐに内容を把握できます。
MRIペンデュラムの現象だけではなく、マジシャンとしてどのように相手の心理も利用していくかなど単純な技法やテクニックにとどまらずより高次な内容を学べる点は個人的には良かったです。
相手の心理をどのように掴み、利用していくかはバーディーさんの書籍である「世の中で悪用されている心理テクニック」でも解説されているので併せて学習した方が良いかと思います。
凄い技法やテクニックを期待している人が見たらちょっとガッカリするかもしれないです。
単発のネタに3500円という価格設定をどう考えるかですね・・・。
メンタルマジックや催眠術に差し当たり興味がない人にとっては高い買い物かもしれません。
ただメンタルマジックや催眠術に興味のあるならまよわず買いのマジックDVDだと思います。
これからバーディーさんのMRI ペンデュラムを購入しようか検討している人は参考にしてみてください。
不覚筋動(観念運動)の原理について知っている方がいれば、コメント欄で教えて頂けると嬉しいです。
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