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催眠術の知識がなくても相手を催眠にかけることは可能です。
ただ催眠術師としてパフォーマンスするにあたって、催眠に関する知識はあった方が絶対に良いです。
というわけで、「催眠術の教科書 (知恵の森文庫)」を買ってきて催眠の原理と催眠術のかけ方を勉強することにしました。
林貞年先生はおそらく日本の催眠術師のなかで最も知られている方ではないでしょうか?
本屋でもかならず林貞年先生の本が置いてある気がします。

意欲の高い方で、催眠に関する知識を極めようと思っているなら専門書でちゃんと勉強しましょう。

その辺りの書店に売っている催眠術に関する本を読み漁ってもあんまり意味がないと思います。
催眠術をかける方法はパターンが決まっています。
正確に言うなら「催眠術にかかったと思わせる」パターンです。
専門書にも書いてありますが、催眠はあくまでも個人的な体験に依るものです。
ですので正直な話、トリックを使っていても相手が「暗示によって催眠にかかった」と思えばそれは立派な催眠術になってしまいます。
要はいかに相手に思い込ませることができるかということです。
なので、このブログではマジックをガンガン使って相手を催眠術にかける方法を紹介していきます。

なぜ催眠術師はスプーン曲げをするのか?
相手が元々持っていた潜在的な力を催眠術で引き出したかのようなパフォーマンスが簡単にできるからです
「催眠術の教科書」から内容を一部引用すると
その人の中にあるものを引き出す心理技術
目が覚めたあと、スプーンの先端に右手の人差し指を引っ掛けたと思うと、彼女は顔色ひとつ変えずにグニャっと曲げてしまったのです。
このような現象を目の当たりにすると、まるで催眠が未知の力を与えたかのように思えます。しかし、実際には未知の力を与えたのではなく、彼女が元々持っていた力を、催眠が引き出しただけなのです。
(中略)
催眠を使うことによって、この観念を一時的に抑えつけ、無意識にセーブしている力を解放してやることができるのです。
逆に言えば、本人の中にない能力は、催眠はどんな風に使っても出てきません。
誰でもできる催眠術の教科書p20-22
催眠誘導研究所所長 林 貞年
この催眠の原理をマジックで演出する方法が、バーディーさんのHypnotism Bend(ヒプノティズムベンド)というレクチャーDVDで解説されています。
マジックをやっている方にとっては、スプーン曲げは比較的簡単なジャンルです。
ポンチさんのNOTEでもスプーン曲げのルーティンが解説されていますので、メタルベンディングをマスターしたい方は購入したら良いかと思います。

スプーン曲げの他に有名な方法としては、ペンデュラムを使用して潜在的な能力を引き出したかのようなパフォーマンスです。
このスプーン曲げのトリックと催眠術を融合させたのがマジシャンでもあり催眠術しでもバーディーさんです。
日本人で催眠術&マジックを組み合わせた初めての方かと思います。
ヒプノティズムベンドについては別記事で商品レビューしていますので、スプーン曲げと催眠術の勉強したい方はチェックしてみてください。

ヒプノティズムベンドではスプーン曲げのトリックを利用して、禁止暗示を行い「カタレプシー」という筋硬直を起こすことが可能になります。
ペンデュラムを使用して催眠術を行う場合は、スプーン曲げと異なり「観念運動」という心の中で思ったことが実際の運動として現れる現象を利用したものになります。
ペンデュラムを使用したマジックで有名なのはバーディーさんのMRI ペンデュラムだと思います。
こちらもマジックDVDで年間売上げ1位になった、マジック界隈の人で知らない人はいないレベルの超有名作品です。

他にペンデュラムを使用したマジックは過去に商品レビューしていますのでそちらも気になる人はチェックしてみてください。
「観念運動」など催眠術の知識を専門的に勉強したい方は、こちらの記事を参考にしてください。


催眠によって相手の味覚を変化させるパフォーマンスが有名ですよね
本ワサビを甘くするやり方は分かりませんが、通常は飲み物のラベルをすり替えたりして味覚の変化を起こさせたような演出が多いと思います。
本ワサビを甘くするマジック解説動画があればぜひ見たいですね(笑)
催眠術における感情コントロールについて「催眠術の教科書」から一部引用すると
感情まで操作してしまう催眠
催眠にかかると、「面白くて笑いが止まらなくなります」と言えば、面白い冗談を言わなくても被験者はゲラゲラと笑い出します。
(中略)
このように催眠を使えば、喜怒哀楽はすべて操作できます。それどころか、暗示次第では好き嫌いの感情まで操ることができるのです。
誰でもできる催眠術の教科書p24
催眠誘導研究所所長 林 貞年
この催眠術で行う感情支配にマジック要素も融合させたのが、Hypnotism Bend2 Love+になります。
「笑いがとまらなくなる」催眠誘導などの方法が解説されています。


覚えてもらったトランプの数字が思い出せないといった演出が有名です
記憶喪失や記憶の書き換えといった現象になります。
トランプを使用した手品として有名なものです。
やり方については過去に商品レビューしていますので、マジックをマスターしたい方はチェックしてみてください。


催眠術のかけ方をマスターしたら、次はより相手に催眠の暗示を思い込ませるテクニックが必要です
催眠術のかけ方を覚えるだけではダメです。
相手に対して効果的に催眠の暗示を信じ込ませるには雰囲気作り等が重要になっていきます。
こういったテクニックはマジックなどのトリックでは解説されていない部分なので、催眠術の本や心理学の本でしっかり勉強した方が良いです。

ラポール形成とは信頼関係を築くといった意味が本来の意味ですが、催眠に関しては被検者に催眠術師が本物であると信じ込ませることを指します
催眠術師として信頼されていないと相手を催眠にかけることは難しくなってしまいます。
ラポール形成はとても大切で、催眠術師としての信頼を得るためのテクニックをいくつか紹介していきます。

「マジシャンです」と自己紹介してしまうと催眠の暗示効果がダメになってしまいます。
相手に「どうせマジックだろ」と思われてしまうからです
「催眠術師」といった権威性のありそうな自己紹介をすることが大切です。
肩書というものはかなり強力なんです。
ですので名刺などを適当に作っておいて「催眠術師」やらの肩書を記載しておけば良いと思います。
別にこういった肩書は国家資格でもなんでもありませんので、名乗ったモン勝ち的な風潮があります。
手品を使って催眠術を行うため失敗する可能性がないので、堂々と「催眠術師です」と名乗る練習をしましょう。
堂々としているのが大切です。

名刺とかではなく「海外の有名な催眠術師によるレクチャーを受けてきました」などでもラポール形成できると思います
「威光暗示」の派生みたいなものです。
催眠術師がTシャツ&短パンの格好で登場してきたら、かかるものもかかりません。
そのような格好で暗示をかけた場合、高確率で「これは手品みたいなトリックじゃないか?」と疑問を抱かせてしまうので止めましょう。
相手に「本物の催眠術師だ」と信じ込んでもらうためには、スーツや和服など厳かな雰囲気も重要な要素になります。

簡単に言うと「相手が受け容れやすい概念を使って催眠術をかける」ということです
「基盤暗示」とは、非日常的な現象(ここでいうならスプーン曲げできるようになった、ペンデュラムで自分のカードを選ぶことができるようになったなどです)を催眠に結びつける思想・信条みたいなものです。
よく言われるのが「気功」を信じている方には「気功で行いました」と言った方が信じ込ませやすいというものです。
「幽霊」を信じている人なら、「アナタの背後霊の力を借りてスプーンを曲げたのです」などと言えば起こした現象を信じさせやすいということです。

上記のような「気功」や「幽霊」などの例えだと全然説得力がないように感じる方がほとんどだと思いますが、これが”科学的”や”心理学”・”医学”・”メンタリズム”などに変わると途端に高確率で信じ込ませることが可能になります
最近はメンタリストというドラマの影響なのかDaigoさんの影響なのか、心理学ブームであったりメンタリズムブームなので「催眠術」という言葉よりは圧倒的に「心理学」や「メンタリズム」といった言葉を使用して誘導した方が良いと思います。

「これから行う催眠は巷の催眠術師などがおこなう胡散臭いものやパフォーマーが行う手品などではなく、あくまでも”心理学”的なアプローチになります」などと言えば効果的です
「基盤暗示」を有効に働かせるためには、常にちょっとした会話の中や相手の雰囲気や経歴などから「相手が何の概念なら受け容れやすいか?」を感知することが大切です。
相手から情報を上手く聞き取りたいなら「コールドリーディング」などの勉強も併せてやったほうが良いと思います。
コールドリーディングは占い師の方などが行うスキルの1つです。
占い師になりたい方はマスターした方が良いです。
「被暗示性」とは暗示の受け容れやすさを指す概念のことです。
心理学者アイゼンクとファーノはこの「被暗示性」を3つのタイプに分類したとされています。
催眠に入る際の確率については色々な催眠術本で言及されていますが、出典元がないため適当だと思います。
「催眠術の教科書」で書かれている催眠に入る確率について引用すると
深い催眠に入る人・・・・45%
中程度の催眠に入る人・・・・75%
軽度の催眠に入る人・・・・95%
「催眠術の教科書」p39
林貞年 著

「ミルトンエリクソンの催眠療法入門(解決志向アプローチ)」で言われてる「被暗示性」の確率について引用すると
たしかに、高い被催眠性と被暗示性を備えている25%の人たちには、このアプローチは有効でしょう。皆さんが「目が閉じていきます」と言って合図を与えると、実際に被験者の目は閉じて全てが順調に進みます。そして、50%の人はおそらくは多少の被催眠性や被暗示性を備えているでしょう。けれども、この人たちの反応はその時の状況や催眠家の技量によるものです。残りの25%の人は、伝統的な催眠の考え方においては被催眠性や被暗示性を備えていません。
ミルトンエリクソンの催眠療法入門(解決志向アプローチ)P18
W・H・オハンロン、M・マーチン著 宮田敬一 監訳 津川秀夫 訳

「被暗示性」の確率などはどうでも良くて、大切なのは相手に「アナタは珍しく被暗示性の高い人です」と伝えて催眠術にかかりやすいことを信じ込ませることです
これから催眠術の勉強をする方はぜひ参考にしてみてください。
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